瞬き

明日になれば忘れてしまう 目を瞑り続けたらそれも忘れる
コーヒーにミルク インクとペーパー 目に入る光をせめて綴る

言葉を覚えたがる赤ん坊のように 伝えたい本能が筆を運ぶ

瞬きの間に見過ごしてしまうような 些細なごく普通の輪郭を文字で
歌ってみたりするけれど
それって 届いたりするのかな?

無人駅のベンチ ねぇ夜空 うまく伝わらなくて水たまり
安易な二元論 寄りかかりたい でも黒の濃淡にこだわりたい

さっきよりも風が少し強くなったよ 「少し」と「強さ」をどう伝えよう?

瞬きの間に通り過ぎてしまうような 風の感じるままの 触感を文字で
歌ってみたなら誰かの心
動いたりするのかな?

とどのつまり名残綴 故に気ままに

瞬きの間に朽ち果ててしまうから せめてその前に
感じるままを 月と陽が重なるように ぴたり

伝わったならいいな

伝わると信じて