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「M」と言ってもSM的なことではないし、サイズ的なことでもなければ開脚的なことでもない。プリンセスプリンセスの「M」のことだ。
プリンセスプリンセスのドラムス、富田京子氏が実際に体験した大失恋を元に作詞した名曲である。
幾多のアーティストにカバーされ、いまだにカラオケでも人気。(余談だが、筆者が通った中学校の柱にMの歌詞が彫ってあった。まだその曲自体知らなかった頃、素晴らしい詩だと思ったものだ。)
当時、アイドル的な人気だったアーティストの実際の失恋を歌った曲。そしてタイトルはイニシャルを意味するらしい。
そう言われれば、それが誰なのか気になるのも当然と言えば当然なのかもしれない。
いつだったか地元石巻にある行きつけのショットバーで、とある先輩からこんな話を聞いたことがあった。
「Mの歌詞って、ヒルビリーバップスの宮城宗典のことを歌ってんだぞ」
1980年代中~後期、幅広い人気を誇ったヒルビリーバップス。そのバンドのボーカル、宮城宗典。彼こそが「M」だと噂される理由は大きく二つある。まずイニシャルがM(宮城)M(宗典)。そして、彼は人気絶頂の最中、1988年3月29日、自殺した(とされる。原因は不明)。
それから約八ヶ月後のタイミングで「M」の収録されたアルバム、「LET’S GET CRAZY」がリリースされる(1988年11月21日)。
イニシャルとタイミング。ゴシップ性も手伝ってこの噂がうまれたのだろう。
いや、果たして噂と断言してしまっていいのか。
実は、プリンセスプリンセスの曲で、「M」と同じく富田京子氏の作詞による後日譚とも言うべき曲があるのをご存知だろうか?
その曲の名は「台風の歌」。
「ラジオからは古いロックンロール」
という一行から始まり、
「土砂降りの雨も 降り続くわけじゃない ふりだしに戻るのを怯えてるガラじゃない」
というサビを持つこの曲。この曲の中に、
「本気で愛して 振られた分だけの」
というラインがある。
振られて?
そう、彼女は急に「M」を失ったわけではない、振られたのだ。
そして「M」の歌詞を読み直すと、
「黒いジャケット 後ろ姿が誰かと見えなくなっていく」
とある。やはり振られたのだ。ということは、「M」は少なくともその当時、生きてる人物である可能性が高いのではないか。そして間違っても自殺した恋人へ送った歌には聞こえないのだ。「誰か」が死神のメタファーだとしたら、、、と言う可能性も無くはないが低いだろう。「台風の歌」の歌詞の勢いを見ても、亡くなった人を忘れようとする歌とは思えないのだ。
宮城氏ではないとして、それでは誰なのか。
そこでもう一人の「M」が浮上してくる。
それは、絶大な人気を誇ったジュンスカイウォーカーズのギター、森純太。
イニシャルは確かにM。
そして思い返してみる「M」の歌詞。
「黒いジャケット 後ろ姿が誰かと見えなくなっていく」
「星が森へ帰るように」
黒いジャケット、そして森。なんとなくあの当時の森純太をイメージしてしまうのは筆者だけだろうか。
「言葉につまる」というジュンスカイウォーカーズの曲がある。その中に、こんな歌詞がある。
過去がきれいに見えるのは退屈な自分にはらをたてているせいさ
いつか君は幸せになり 思い出の一ページをあの星に変えるだろう
これがジュンスカイウォーカーズによる「M」への返答だと噂された。ただし、この曲はボーカルの宮田和弥が作詞しており、信憑性はやや薄れる。
結局、宮城にせよ、森純太にせよ、噂の域をでない。真実をするのは当人か、神か。
しかし、ジュンスカイウォーカーズ再結成後、今年の4月にリリースしたオリジナルニューアルバムの中に、「タイムカプセル」という曲がある。作詞クレジットが「J(S)W」、つまりメンバーの誰が書いたかわからないこのバラード。その中にこんな歌詞がある。
幸せに暮らしてると友達から訊いた
君と似てる子供たちがいることも
ずっと ずっと一緒にいたかった
すべてを捨ててもよかった
きっと きっと また逢える時が来る
それだけ信じて来たんだ
プリンセスプリンセスファンの間では、「M」は森純太というのが確定的らしい。「M」をめぐる話の中で、男は過去を美化し思い出し、女は涙で流し去って次へ進む。そんな話を思い出した。
世界でいちばん暑い夏と思うよな猛暑を抜けて、もうじき白いクリスマス。
さて、ウィスキーをロックで、山崎まさよしのカバーで「M」を聞こう。
(2012年12月20日、アメブロに書いた記事を加筆修正しました。)
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